第26回野のはな書展 鑑賞3(植田春汀臨「枯樹賦」)
- harunokasoilibrary
- 7月5日
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初唐の褚遂良の「枯樹賦」(こじゅのふ)を原寸全臨されています。467字ほどの行書です。630年、褚遂良35歳の作品です。彼の代表作である楷書の「雁塔聖教序」(がんとうしょうぎょうじょ)は、653年に書かれていますから、それより20年も前に書かれたわけです。私は、「雁塔」は、もともと行書で書かれたと考えていますから、基本的には「枯樹賦」が下敷きになっていたのかもしれませんねえ。春汀さんは無心に書を楽しんで書かれているように思われます。モーツアルトのピアノ曲のようなリズムが感じられますから。言葉より、書き振りの緩急、抑揚、線の太・細の変化を楽しまれたことでしょう。褚遂良は、王羲之(おうぎし)の作品(たぶん真筆)を研究していましたから、その用筆法から俯仰法(ふぎょうほう)を学んだと思われます。春汀さんは、それを意識して学ばれたでしょうか。王羲之の書線の表情や変化が、彼独特の用筆法から生まれていることを学ばねば臨書する意味は半減するでしょう。筆管の上方か下部かなど筆を持つ位置もいろいろ試してみられたのでしょうか。
2020-09-02 19:56:20



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