植田春汀書作展 鑑賞29「古井戸の暗きに落つる椿かな(与謝蕪村)」2019年制作
- harunokasoilibrary
- 7月12日
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与謝野町の椿文化資料館のために、いい句を選ばれたですねぇ。椿の名句はいくらかありますが、この蕪村の絵画的な句ほど資料館にピッタリの句はありませんねぇ。ちょうど今、椿も咲きだして、この作品を祝福しているようです。
たしか、一緒に表具師さんの所に伺った時、そこで見かけた色紙掛け軸と、この色紙を見た春汀さんが、これに何か書きたいと思われて、即、購入されたように、思い出します。
この句は、蕪村の写実絵画的な面と、象徴派的な、ロマンチックな面とが表現された、名句ですねぇ。
春汀さんは、やや緊張気味に、強く書いています。いつもの柔らかさとは、少し趣が違います。章法はオーソドックスですが、その字の強さと、料紙の色や文様が対照的に感じられ、色紙の中心が底知れぬ井戸の暗闇のようにも想像され、そこにすい込まれていくような幻想にとらわれますねぇ。無作為の作為でしょうか。
春汀さんのコメントを転載しておきましょう。
「表具屋さんで椿の模様の唐紙が使われた掛軸に出会い、与謝野町の椿文化資料館に置いていただける作品をと、蕪村の句から選んで書きました。実家の井戸の上に椿があり実感がこもりました。」
2020-03-14 21:06:38



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