植田春汀書作展 鑑賞27 「池大雅・楷書千字文」原寸全臨 2014年制作
- harunokasoilibrary
- 7月12日
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大変な力作ですねぇ。春汀さんは、このような大作でも、淡淡と書かれていますねぇ。書くことが好きなんでしょうねぇ。その姿を見ていますと、私の母のことを思い出します。母は齢でしんどかったと思うのですが、書展のときには、どんな大作でも、締め切りまでには仕上げていましたねぇ。疲れたと、聞いた覚えがありません。情熱的でした。私も負けてられませんから、弱音は吐けなかったです。「野のはな」を大切に大事に育て、守ってくれてはったんですねぇ。今頃になって感謝しても始まりませんけどねぇ。春汀さんは、はじめから、「野のはな」の花でしたし、母に負けないような作品を書いてきはりましたから、今更何も言うことはありませんが、今でも母は、彼岸から感謝してくれていると思います。
私にとって池大雅は、特に魅力ある芸術家です。彼の絵の素晴らしさは言うまでもありませんが、書のほうに、私はより魅力を感じています。しかし、その魅力の因って来るところを、まだつかみきれていません。何とかここ数年のうちに、それをつかみたいと考えています。
春汀さんのコメントを転載しておきます。
「千字に208文字足りない792文字です。先生の勧めで取り組むことにしましたが、本を手にした瞬間一目惚れしました。写していると池大雅の楽しげな表情が現れてきて、うきうきした気分で練習できました。後で眺めたいので巻子ではなく軸にしたら石碑みたいですね。」
2014年制作 約180×70㎝
春汀さんは大雅の楷書千字文を書いた次の年に、下の「飲中八仙歌屏風」の節臨をしています。大雅の草書は特に魅力的です。その魅力を言葉で説明することは、今の私には無理です。春汀さんは、自分とは資質の違う池大雅から、何を学んだのでしょうか。大雅を臨書したその後の書作品に、その成果が表れていることでしょう。

春汀さん御自身のコメントを作品集から転載しておきます。
「屏風に貼られた一枚一枚が水墨画のように絶妙な潤渇で書かれ、美的に完成しているにもかかわらず、詩文の区切りで選んで節臨したので、その美しさが出せず苦労しました。実物より大きく書いています。」2015年制作 約150×90㎝
2020-03-14 17:56:50



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