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植田春汀書作展 鑑賞17 「山路きて何やらゆかしすみれ草」(松尾芭蕉)(カルタ「花の百人一句」より)2006年制作

  • harunokasoilibrary
  • 7月12日
  • 読了時間: 1分
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 芭蕉のこの句は、芭蕉の紀行文『野ざらし紀行』(1684年8月~1685年4月頃)にあります。

 芭蕉の初案では「何とはなしに何やらゆかしすみれ草」だったようです。そこから考えられることは、言葉の音楽的な響きを大切にして、詩を詠んだということです。決定稿の「山路きて何やらゆかしすみれ草」の「山路」「来て」「何やら」「ゆかし」「すみれ草」の音楽的流れは、日本語の美しさを表現していますねぇ。


春汀さんの表現をみてみましょう。

花の百人一句は、御自分で選ばれた句です。小さなカルタに書かれています。すみれの水彩画も御自分で描かれました。二句切れのところを2行に分け、全部で4行に書かれています。書風も、「ゆかし」にピッタリの、穏やかな整った書き振りです。意味のないデフォルメは避けて、可憐なすみれのように、凛とした明るい線で表現されています。私が、まだ、十代の中頃、山路で、ふっと出合った、一輪の濃いすみれを思い出します。まだ少年だった私は、何ともいえない(ゆかしい?)心持ちになり、歓びで身体がふるえた事を思い出しました。春汀さんは、これを、淡淡と書かれたと思いますが、その素直な飾り気のない書が、すみれの野性的で高雅な姿とピッタリですねぇ。

2020-02-29 11:00:07

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