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植田春汀書作展 鑑賞12 「淳 樸」

  • harunokasoilibrary
  • 7月12日
  • 読了時間: 2分
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 「淳樸」といえば、『老子』を思い浮かべる人も多いでしょう。

『老子』還淳第19章に「素をあらわにし、樸を抱く」という1節があります。他人と比較せず、個性を大切にして、自分らしく、ありのままに生きることを説いています。また『老子』第32章に、「道は常に無名の樸なり」という1節などもあります。私も、以前、色紙に「樸」一字を書いたことを思い出しました。

 老子は中国の春秋時代(紀元前770年~紀元前403年)の思想家です。道教の始祖で、紀元前5世紀頃の人だと伝えられていますが、はっきりしません。春秋時代の漢字は青銅器などにしるされた金文だと想われますが、書写材料もはっきりしません。おそらく、金属器以外にも、帛(絹布)や簡牘(竹や木)に書いていたと思われます。紙はまだありませんでした。


春汀さんの金文は、飾り気のない点画で書かれています。滲みは滲みのままで、歪みは歪みのままで、素直に書かれていますねぇ。しかし、素朴に書かれている様に見えますが、この扁額の余白は、完璧に決まっています。恐ろしいほどの決まり方です。余程の天才か、努力がなければ、このような書はかけません。その1ミリも動かすことのできない緊張感のなかに、ゆったりとして、気張らないように見える金文が書かれているのです。老子の言う「道」とは、このようなものなのかも知れませんねぇ。私には、この作品が、春汀さんの人柄とクロスして見えます。美しさと純朴が同居していますねぇ。


以下に春汀さんのコメントを転載しておきます。

「「淳」は、きじのまま、飾らないとか、すなお、まじりけがない、などの意。「樸」は切り出したままの木の意。

そのようにありたいと思い、素朴な金文で書いてみました。」 2001年制作

2020-02-24 09:38:26

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