「ミゼレーレ3」(淋) 作品223
- harunokasoilibrary
- 9月28日
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更新日:10月19日


春野かそい書「ミゼレーレ3・みんな ひとりぼっちだ!ひとりぼっちだ!」(淋・loneliness)
2018年12月 約23.5×23.5㎝ 唐紙・墨
「淋」と書かれている。
個展会場に、気品ある、美しい、初老?の女性が一人でふらっと入ってきた。わたしは目を合わせることもなく、一瞥して控室に引っ込んだ。その女性は、天女に時折り話しかけながら、ゆっくりと時間をかけて作品の一つ一つを見ているようであった。他には誰もいない静かな会場だが足音さえも聞こえなかった。もう出ていったのかなと思うと、天女に話しかけているのか、独り言なのか分からないが、話し声が聞こえた。わたしは息を凝らして固まっていた。18番あたりでだろうか、「やさしい方なんですねえ」と聞えたような気がしたが、はっきり分からなかった。わたしは「それは誤解です」と心の中で呟いた。その方が帰られたあと、天女の話すところによると、絵筆を持っていたけれど、絵の世界の人間関係の醜さに耐えかねて筆を折ってしまった。だけど、今日、この展覧会に来て、また筆を持とうと思うようになりました、と言われ、元気になって帰って行かれたとのこと。きっとこの方は、画壇という荒地に種を蒔かれることだろう。わたしは個展をやって良かったと思った。この方が元気に生き、良い種を蒔きつづけて行かれれば、わたしの願いは、すべて叶ったことになる。
2018-12-27 09:29:48



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