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「ミゼレーレ11」(涙) 作品231

  • harunokasoilibrary
  • 9月28日
  • 読了時間: 2分

更新日:10月19日

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春野かそい書「ミゼレーレ11・荒地に雨が降る」(涙・tear)

2018年12月 約23.5×23.5㎝ 唐紙・墨

「涙」と書かれている。


ミュージカル「レ・ミゼラブル」の中で歌われる、エポニーヌとマリウスのデュエット、「恵みの雨(少しの雨)・A Little Fall of Rain」から連想されこの言葉が書かれた。その歌の中で、雨と涙に濡れたマリウスに抱かれながら死にゆくエポニーヌの歌う「安らかだわ、いつも雨は花を育てるわ」「雨は過去を洗い流すでしょう。安らかだわ、居てね、そばに、抱かれて眠るわ、めぐりあえたこの雨・・・・・・」をイメージ化したものといえるだろう。ふたりの流す涙は降る雨と融け合って愛の花を咲かせる。センチメンタルでロマンチックな作品である。

ピカソに「泣く女」という作品がある。これは西洋伝統の「悲しみの聖母」のパロディーと思われるが、このピカソのモチーフは、最初、ピカソの「ゲルニカ」の習作として描かれ、ゲルニカ完成後に「泣く女」という独立した絵としても完成された。ピカソの「泣く女」制作の動機は不純な俗っぽいものであったと推測されるが、結果的には「悲しみの聖母」に表される、普遍的な宗教的悲しみに到ったと思われる。聖母マリアの流す涙は世界を救う愛の涙の象徴である。とわたしは感じる。

わたしの作品の背後には、深いところで、悲しみの聖母と、わが母の涙が重なり合って、雨のように荒野に降っているのである。

2019-01-04 09:42:09

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