「沈黙との対話」展
2000年
沈黙とは、書かれないもの、
書かれたものが 生まれてくる
実体、本体、死のことと いったらよいか
言葉では名づけられぬもの、命そのもの、
神といっても、天といってもよいか、目で見ることのできないもの、
心でしか見ることのできないもの、しかしすべての存在に具現しているもの
私はそれと対話する 祈るように対話する 私が生きつづけるために
私は、自己の生を証しながら他との共生のために祈りつづける
私は墨や紙や筆や言葉と協同して 沈黙の姿を人間に
感じとれるようにと努力した
春野か そ い
作品を言葉で説明することは
無駄なことである。それはわかっている。
作品の鑑賞は鑑賞者の自由な想像力にまかせるのが最良と私は思っている。
わかったうえであえて言葉による説明を試みることにした。
この説明は、私が制作中また制作後に感じ考えたことのほんの一部を語っているにすぎない。
言葉は正確に作品を説明しているわけではないが、私が何を考えて、
またどんな気もちで 紙に向かったのかの片鱗は、わかっていただけると思う。
私の作品は、私の意識を超えている。
私の説明があなたの自由な想像の妨げにならなければよいが……
か そ い
愛
樹
響
サムサーラ
あこがれ
夢(自由・平和・希望)
「希望」は羽根をつけた生き物(鳥)
生命
カオスⅠ(地水火風)
カオスⅡ(地水火風)
遠い記憶Ⅰ(無垢)
灯
小さな貧しい花
もう一つの世界(心)
四季(風花雪月)
花心Ⅱ
死の光(光)
光
顕現I
顕現Ⅲ ※別の個展に出品
私は書に救いを求めて書いた
書は私を生かすだろうか 書は私を証すだろうか
私は祈るように書いた
私は音楽と出会い音楽の力にうながされ励まされ
文字の力を借りて制作した
言葉も音楽と同じように私を励まし
表現するように背中を押した
私は自然の従者
自然の導によって、
水や風や雲や樹や音や筆や墨の導によって
愛につつまれて制作した 制作は苦しいばかりではなかった
沈黙の姿はいまだ見えないが 何か私は幸福だった
私の好ましく想う人びとや、音楽や絵や詩につつまれて
私は幸福な気分だった 時を忘れ、季節を忘れ
無限の時空で私の好ましく思うものや人と対話し、戯れ、夢を見た
そして死の風が緩やかに吹いてきた
か そ い