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「ミゼレーレ」MISERERE
-ルオーへのオマージュ-

  2018年

「罠と悪意のこの世で、わたしは姿をくらまし、深く潜行し、そして再び浮上することを学んだ。何よりもわたしの作品をもっと美しく、もっと表現的にすることに専念した」「さまざまな世の中で、荒地に種播くは美しい業」(ジョルジュ・ルオー)

ほとんど芽は出なかったが、わたしは今日まで、嗤われながらも、あきらめずに種を播いてきた。

そう、少しは収穫があったから。

この国の不毛な書道界に種を播いた覚えはないが、ルオーのこれらの言葉に励まされて、ほとんど収穫の期待できないこの荒地に、わたしも種を播くほうが良いのかもしれないが、しかし、この世と同じくらい、いや、さらに酷く腐敗堕落した書道界や芸術界や知識界に種を播くことはとても苦痛である。

わたしはまだまだ深く潜行し、いつの日か再び浮上する時まで自分の表現力に磨きをかけようと思う。今回はその決意表明のための、展覧会、と言うのも恥ずかしい個展である。

それでも、誰か、ふと、立ち止まり、わたしの作った貧弱な作物を摘んで、その日一日だけでも、生きのびるために役立ててくれることを願っている。

2018年12月9日 母の誕生日に  かそい

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