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春野かそい詩書画展
ゲネシス-Genesis-発生又は創造
2019年
中村千枝子先生の制作された糸に出合ったのは、いつ頃だっただろうか。
その糸を見た時、「染」と「織」に、私は、創造の根源を直感した。
原糸を紡ぎ、染め、縒り、緯糸と経糸を編み、織る、といった気が遠くなるような時の重なりと単調な手作業の反復から、色や形や歌声が生まれ、世界が創造される。
「結び目」という言葉を私が知ったのは、サン・テグジュペリの「神とは事物を結び合わせる聖なる結び目である」という言葉からである。
中村先生の糸に出合う前から、この言葉は私の魂の中に宿っていた。この言葉が、不思議な偶然で、私と糸とを結び付けたのかも知れない。
中村先生は「房糸」を贈ってくださった。「短い破房ながらどれも思い入れのあるものばかりでございます。お役に立てると幸いです。」と手紙が添えられていた。それらは、羊毛を草木など、天然の染料で染め、その毛を手紡ぎし、糸にし、織ったものの残り房であった。
私は、糸を聖なる光で包み、その周囲に、文字や、私の心に棲む生命のフォルムを描き加えた。

Genesis1 発生又は創造(糸)
ゲネシス2 ノスタルジアの彼方へ(純)
ゲネシス3 今も 仄かに輝いている 魂の中で(絆)
ゲネシス4 無駄なものなど 何処にもなかった(紡)
ゲネシス5 結び目から世界は生まれる(結)
ゲネシス6 生命の声(経)
ゲネシス7 小さきもの達の声(緯)
ゲネシス8 様々なフォルムの希望(継)
ゲネシス9風の精霊たち(綴)
ゲネシス10 白い光の中に宿るものは(編)
ゲネシス11 白い光に導かれて 少年は歓びに 身ぶるいした(縫)
ゲネシス12 紡がれ 結ばれ 世界は生まれる(績)
ゲネシス13 魚は魚ではなく 虫は虫ではなかった(織)
ゲネシス14 懐かしい歌声は 5次元から響く(系)
ゲネシス15 ヒドラは 独りで歌い踊り 世界は輝いていた(約)
ゲネシス16 水の精霊たち(繋)
ゲネシス17 それは 理解を超えたものであった(純)
ゲネシス18 火の精霊たち(縁)
ゲネシス19 隔てるものではなく 繋げるもの(線)
ゲネシス20 地の精霊たち(素)
ゲネシス21 生命は 形を変えて 明滅する(縒)
ゲネシス22 乳白色の光の声に 虫になった少年は 空を見上げた(結)
ゲネシス23 それは 言葉を持たないもの(練)
ゲネシス24 魂に住み 浮遊する 希望(純)
ゲネシス25 語ることのできないものがある(結)
ゲネシス26 根源的な結び目(績)


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