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第21回野のはな書展(2015年6月2~7日)

  • harunokasoilibrary
  • 5月28日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月31日




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ごあいさつに代えて

はたして

誠実な作品が ここにあるだろうか

自分の命と同じ重さで書かれたものが

ここにあるだろうか

愛について

真実について

人間らしさについて

探求する作品が ここにあるだろうか

言葉では説明できないものを表現している作品が 

ここにあるだろうか

 

あなたに あるだろうか

誠実な作者と同じだけの努力をいとわず

共に歩く真心が

代表 春野かそい    (出品目録掲載文)

 


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第21回野のはな書展感想

 私の呼びかけに応えて「愛の祭り展」に参加くださった出品者の方々に心から感謝の言葉を捧げたいと思います。多くの出品者には幸せな事だけでなく、個人的な不幸や災難も多くあったようです。そのような意気消沈するような出来事のなかでも、その悲しみや苦労を乗り越えて制作と出品、書展の成功のために尽力くださった方々に敬意と「ありがとう」の心を贈りたいと思います。

 私には空襲で辺り一面が火の海になっても心閑(しずか)に書を書きつづけた先人の姿が心の片隅にいつもあります。どのような不幸のなかでも心の自由を失わずに信じる心の姿を作品に遺してくれた偉大な芸術家や人間を敬愛せずにはいられません。

 さて今回の書展は大盛況であったと思う方もおいでのようですが残念ながら反対に低調な展覧会であったように私には感じられます。出品者も出品数も少なかったからです。それでもせっかく意欲的な力作が多くありましたのに私がもっと熱意をもって宣伝すればもう少し皆さんの苦労が報われたのになぁと後の祭りですが反省ばかりしております。本当に熱意のある誠実な来場者も数人おられ感動もしたのですが。

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 何事にも寿命があるのかもしれません。野のはな書展の寿命は何歳でしょうか。まだ老人にはなっていないと思うのですが夭折もありますからなんとも言えないですねぇ。些(いささ)か弱ってきているように感じますから病気かもしれませんねぇ。病気なら治るかもしれませんが私は医者ではありませんから静かに見守るしかありません。

 もちろん私たちは展覧会のために書道を学んでいるわけではありません。私は自分の成長と物事の探求のためにまた自分を励ますために書いていますが私にも自己顕示欲はあります。そうでなければ作品を発表したりはしないでしょう。しかし自己顕示のためだけで発表する方もいるでしょうが作品発表とはただそれだけではないと思います。作者は制作を通じて真実にめぐりあいそれを発表することでさらに深く真実を認識するのだと思います。何か優れた思想なり政治的な観念などのメッセージを伝えるために発表するものではないと私は考えています。制作者は自分の目と耳と心で愛なり死なり孤独なりに対してその真実を自分なりに捉えねばなりません。その捉える過程が制作なのです。作品が成功するか失敗するかは枝葉末節(しようまっせつ)のことです。制作が正しく行われるなら制作に失敗はありません。あとは未完成の作品を鑑賞者が完成させてくれるでしょう。芸術は鑑賞者がいてはじめて成立するものだと思います。立派で優秀な自分を見せるために発表しているとしたらそれは馬鹿でしょう。未熟な人間だが誠実に探究している姿が尊いのではないでしょうか。

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 借り物の言葉を書かないことです。偉人の言葉や思想ではなく自分の言葉に消化した新しい言葉を書かなければなりません。そのなまの言葉を消化するために制作があるのです。読めるだけで良いのなら書などいりません。

 皆さんの力作については何も触れませんでしたが私は多くの出品作品から書について芸術について人間性について学びました。

 ありがとうございました。

 未来はありませんから未来のことは分かりませんが野のはな書展に未来がありますように願っています。

 (2015年6月・会員つうしん第138号掲載)

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