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第19回野のはな書展(2013年5月14~19日)

  • harunokasoilibrary
  • 5月22日
  • 読了時間: 4分

更新日:5月31日



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ごあいさつに代えて

自分の眼できけ

自分の耳でみよ

裸になれ

他人の魂で道をてらすな

あるがままを感じよ

自分を育てるものを見つけるのだ

悪を愛せ

善を憎め

卑下するな

謙遜するな

変身するのだ

道なき道を歩め!

代表 春野かそい

(出品目録掲載文)





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第19回野のはな書展感想     春野かそい

 

 いつもの事だが、書展が終ると、やって良かった、と思う気持ちと、やらなければ良かった、という思いが相半ばする。「いつもの事」と言ったが、このような迷いは第1回展からあったわけではない。いつ頃からかは思い出したくもないが、回を重ねるごとにつのってきたようにも感じる。

 

 論語に「子曰。吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲。不踰矩。」(為政)

 「子(し)曰(いわ)く。われ十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)う。七十にして心の欲するところに従えども矩(のり)を踰(こ)えず。」という有名な文章がある。

 これは一般に、孔子が年とともに、修養を積んで、悟りを開き、最後には聖人になった、と解釈されるようだが、解釈はそれだけではない。

 「六十にして耳順う・・・」は、真理が素直に分かるようになったという意ではなく、老人になって気力も体力も衰え、鈍感になって、何を見ても聞いても腹が立たなくなり、七十になったら、ほとんど欲望もなくなって、若いころの夢や理想もどうでもよくなり、好好爺然(こうこうやぜん)として、常識という檻の中で安心するようになってしまう。これが自然な(凡庸な、というべきか)人間の歳のとり方なのだ。孔子はこのことを自覚し、老化を肯定することで精神を活性化したものと想われる。

 老人がエヴェレストに登ったり、東日本の震災を口実に老人バンドを復活させたり、活躍する老人を「希望の星」などと称えて政治の舞台にしがみついている老人たちを、ぼくは美しいとは思わない。

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 不老不死は人間の願いかもしれないが、生命の真実に心を致し、「あきらめる」ことが美である、と、ぼくは思う。

 情けないことだが、ぼくの書展嫌いは、老衰による体力、気力の低下がおもな原因のようである。自然なことなら従うしか仕方がないと思う。しかし、まだ少しだけ欲望が残っているようだから、天命を果たすために、創りつづけたいとは思っているが、明日のことは分からない。

 

 発表する作品もそうだが、毎回つづけてきた学習会も、毎度のように中止したいと提案し関係者を困らせてきた。何を言っても、犬に論語ではないか、と感じてきたのだ。傲慢だと思う人こそ傲慢である。

 しかし、いつも、ほんの少数だが、礼をわきまえた人達の熱意に動かされ、全力で自分の使命を果たしてきたのであった。

 論語の開巻劈頭(かいかんへきとう)に「子曰。・・・・・・人不知而不慍。不亦君子乎。」(学而)

 「子曰く。・・・・・・人知らずして慍(いか)らず。また君子ならずや。」とある。これは、(孔子の)高遠な理想を、人が理解してくれなくても、けっして腹を立てない、気にかけない、そんな人に私はなりたい。という意味のようである。

 ぼくは、この言葉を忘れないようにしたいと思う。馬にでも豚にでも犬にでも猫にでも、失礼のないように接しられたら楽しいことだろうとは思うのだが。

 

 結果的に、ぼくは感謝の気持ちでいっぱいである。学習会では思いがけなく熱心な聴衆に囲まれたし、交流会も意義のある発言が多く、本当に楽しかったし、大変な苦労をして出品し書展を支えてくれたみんなの笑顔もうかんでくる。それぞれ個性的な作品は、さまざまな人の心に届いて、たとえ微力だとしても、生きる力になったように感じる。賛助出品の方がたは、今や、なくてはならない存在である。新しい作品が楽しみだ。

 来年は第20回記念展である。一人一人の必然性ある独自の作品が中心ではあるが、もう一つ、生命と人類の平安への祈りを一つにするための作品も考えておいてほしいと思う。

 はじめて、ぼくは、今、世界に向けて、野のはな書展が一つになって、平和の祈りを発信しなければならないと感じている。

(2013年6月・会員つうしん第126号掲載)

 

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