【会員つうしん12】書上達のポイント
- harunokasoilibrary
- 1月24日
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更新日:6月1日
書の学び方は重要です。学び方には、学ぶ方法だけではなく、学ぶ態度も含まれています。上達のポイントは良い学び方がすべてだといってもよいでしょう。
学び方が悪いと百年学んでも同じ場所をウロウロとするだけで何ものも実ることはないでしょう。
今まで折にふれ何度も述べてきたことと重複することも多くありますが、何度も考えて真意を理解したほうがよいでしょう。良くない学び方をしている人は一日も早く良い学び方を自覚して実行することをすすめます。

●書の原理・原則を完全に身につけること。
●手本の字の形をまねるのではなく、書きぶりをまねて自分の中に吸収すること。
●穂先と紙の摩擦音を聞くぐらいに穂先に神経を集中させること。
●使う用具は常に工夫を積み重ねること。
●墨を磨るのがめんどうなうちは書は上達しない。また磨る時間がない程忙しいという人は、書はやめたほうががよい。しかし現実には暇な人ほど書かないものだ。忙しい人ほどまじめに努力しているものだ。やる気がないだけである。そういう人は、何事においても高度なものは身につかない。
●他の人の作品に興味を持たない人は上達しない。(他者を受け入れない自己中心の考え方の人は決して上達しない。書は多くの人によって歴史的に創られてきたものだからだ。)
●書とは、自己と世界との関わりの証明である。世界(政治、文化、人間関係、自然など)と自己とがどのようにかかわっているかの証しである。真剣に生きていない人は決して上達することはない。
●自分の字に満足している人は上達しない。常に自己の欠点を克服するという心構えを失うな。
●一度上った階段を降りる勇気がなければならない。(何歳になっても初心を忘れず、原点にもどれない人は決して上達することはない。)
●書は好き嫌いの世界だと思っている人が多いが、そんな勝手でいいかげんな好みの世界ではない。良いか、良くないかのはっきりした世界である。どんな書が価値のある良い書か、常に考えながら学ぶことである。
●文字の意味や詩文の意味を書くのではない。言葉の意味ではなく、言葉の背後にある世界を書くのである。
●気分がのったときだけ頑張るようなむら気の人は上達しないのはいうまでもない。ゆっくりでも一つ一つ、積み重ねていく熱心さが良い結果をもたらす。
●短時間でもひとりでゆっくり集中できる時をつくり出すこと。
●教室は、ゆっくりくつろいで書く場ではなく、学び取る場である。家でゆっくりすべし。
●書きすぎて病気になるのではなく、喜びもなく無理をするから病気になるのだ。書を書きすぎて病気になることはない。書は生命の証しであり、生命に力を与える芸術である。
●道はすべての人に平等にひらかれている。書の道は終わりのない道である。いったりきたりしながらよどむことなくあるいていこう。
(1995年3月、会員つうしん12号掲載)

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