なぜ?
- harunokasoilibrary
- 3月13日
- 読了時間: 2分
更新日:6月1日
何をしようというのか
時は流れずに澱み
お金はたんまりとある
周囲との摩擦は生のあかし
無理をしても躰はこわれない
命は澱んだ海のように深く豊かだ
何をしようというのか
散り散りになった命は幻想
死の大海の中の生命の春
そうなんだ!
こんな歓びがどこにある
ほらそこに在る、確かに在る
風とたわむれるひとひらの雲の中に
水をうつす瞳のような青空に
浮遊する汚れた優しさと豊かさに
ほら目の前に在る
うすぎたない垢は生の証し
垢の中にピカピカの新品のものがちゃんと在る
そこに在るではないか
キラキラと光が
庭の方に光が
木漏れ日のように
深く温かい光が見える
何をしようというのか
沈黙の海の岸辺で
鳥のように歌い
蝶のように羽ばたく一雫の命
天と地と
水と火と
沈黙の海と命が和解して
垢にまみれた地球が底びかりする
何をしようというのだ
朝あしたになれば無情の太陽に焼かれて
沈黙の海に帰るというのに
生きとし生けるものは歌う

石になった命が歌う
星になった命が歌う
150億光年の命が歌う
150億光年の掌てのひらで
蟻の目の涙が光る
宇宙は150億光年の細胞
カオスを照らす
何をしようというのか
誰のために
なぜ?
(2001年5月・会員つうしん第53号掲載)

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