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2013年七夕書道大会感想

  • harunokasoilibrary
  • 5月22日
  • 読了時間: 2分

更新日:5月31日

 今年も、何か面白いものはないかと、それほど、期待もしないで、と言えば失礼かもしれないが、少しは希望を持って、出品された作品に対した。

 団扇や短冊は小さくて、つい、筆が軽く滑り、小手先だけで無難にまとめてしまうのか、逆に難しくて、小さく固まってしまうのか、条幅なんかに比べてエネルギー消費量が少なくてすむので、力のこもらない軽いものになってしまうためか、見ごたえのある作品に、今日まで出合ったことがない。歴史上にも、心に突き刺さるような名品を思い浮かべることができない。

 しかし、団扇ではないが、平安時代の三色紙は、小さくても、それが一点あるだけで、美術館の広い一室を、異空間に変えてしまうほどの力がある。やはり、作品の優劣に大小は関係ないようだ。このような力がどこから来るのか、じっくり考えながら臨書してみなければならないだろう。

 小さくても、それは現実世界とは別の、一つの世界である。どんなに小さくても、そこに宇宙大の世界さえ構築できるかもしれないのだ。どのような世界をそこに造形するかは作者の想像力と気力と筆力による。

 いささか、話が大袈裟になってきた。やはり団扇は、使って、見て、涼しいほうが良い。黒黒したのも、うす墨も良い。涼しくなるような言葉や詩歌が良い。

 時田麻里さんの団扇を見ていると、楽しくて、いつのまにか歌を口ずさんでしまう。濃墨が輝いて見える伶雲さんの団扇も、運筆の緩急が生む豊かな線の変化をたどっていると、バランス良く左右にゆれながら、こころが涼しくなってくる。春汀さんの作品は、まるで、団扇の中から文字が生まれてきたかのようであった。

(2013年8月・会員つうしん第127号掲載)


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