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2011年七夕書道大会感想

  • harunokasoilibrary
  • 5月11日
  • 読了時間: 2分

更新日:5月31日

七夕大会は大上段(だいじょうだん)に構えた展覧会とはちがって、気楽に鑑賞できるのが好い。

気楽といっても適当という意味ではなく、書を一心に楽しんでいる人の作品を楽しく鑑賞するというほどのことである。

本当に美しい書に出合った時ほど生きる歓びを強く感じることはあまりない。

平安時代のかなは、書の美しい線の極みである。

このような美しい線はどのようにして生まれてきたのであろうか。

平安時代のかなの線の背後には王羲之や唐の書の伝統がある。

中国と日本の貴族が理想とした美がその書の線に込められている。

良寛のかなの線も漢字の線もこの上なく美しい。

その小楷やかなの線にも王羲之や褚遂良の深い影響があるといわれる。

平安の貴族にも江戸末の乞食坊主にも、また晋唐の貴族にも、風土の違いからくる差異と同時に人間としての共通した心の持ち方があったのだろう。

書には、「書いた人の心の質と量が露骨にあらわれる。その人の質と量は書ではだませない」と言ったのは武者小路実篤である。

ぼくは、参加された皆さんの心の持ち方をあれこれと想像しながら、多様な心のありようを、一瞥したに過ぎないのではあるが、楽しませて頂いた。

そして、書の美しさを実現するためには、書法の練習だけでは充分ではない。

そのためには、心の質と量を高めなければならない。

そのような自覚を持って、創作や臨書の中だけでなく、日常的に自然や人間について深く思索し理解しなければならない、ということを教えられた。

(2011年8月・会員つうしん第115号掲載)


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