2010年書き初め大会感想
- harunokasoilibrary
- 5月4日
- 読了時間: 2分
更新日:5月31日
今年も、意欲的な作品が多く、僕は楽しんで鑑賞させて頂きました。書展を5月にひかえ、良い意味でウォーミングアップになった方も多く居られることでしょう。
さて、出品作品ですが、問題作はありましたが、駄作はなかったですねえ。書は芸術ですから、あくまで表現は自由です。書法は書き手の数だけあるといっても過言ではないでしょう。何を書いても、どんな書き方で書いても自由です。
しかし、何か依りかかれる杖がないと不安な方も居られるかもしれませんから、古くから伝えられている書の美について一言(ひとこと)だけ述べます。習字の基本学習に「永字八法」があります。これは「永」字を構成する八種類の基本点画に書道の基本原則がすべて含まれているという説です。しかし、八種類だけの点画ですべての漢字が書けるとは思わないでしょう。実際その後、八法の変化形が七十余種も考えられて来ました。それは変化七十二法などと呼ばれています。もちろん、点画を正しく書けるようにならねばなりませんけれど、「永字八法」の本当の意味は、書の根源についての説だと僕は考えています。その根源とは、点画の変化です。「王羲之は15年間、永の字を練習して八法の原理を体得し、それをすべての字に応用した」と伝えられています。書の美は、形よりも、点画に込められた書きぶりの変化が第一だということです。日頃の基本学習でそこのところをしっかり体得することです。それが魅力ある創作につながります。紙数がなくなりました。詳しくはまたの機会にお話したいと思います。
(2010年2月・会員つうしん第106号掲載)


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