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修羅のなぎさ展
2001年

無情の海は、大地を打ち砕く、

 風は、ただ無心に吹きつづけ、

  光は、容赦なく生命を焼きつくす。

   生命は、その力から生まれてきて

  また、その力によって死に致る。

 生命は、愛することで強大な

自然に抗し生きつづけようとする。

それは修羅の風景

 生命には生きることがすべてなのか、

  無情で強靭で小さな哀しい生命たちよ、

     わたしは祈ろう、

  君たちの安らかな日日を、

   澄みわたる大気の流れのなか、

  太陽の絵具で、黄金に塗られた

小さな木の葉たちが、

楽しげにキラキラ輝いている。

空はどこまでも深く透きとおり、

 その大きなうねりのなかを、

  鳥たちが、泳いでゆく、

  いそいでどこへゆくのか、

  悲しく透明な啼き声が、

   光波のように

この美しき星を突き抜ける。

            かそい 

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タイトルの「修羅のなぎさ」は、宮沢賢治の歌曲「イギリス海岸の歌」からとられた。

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「もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性』を授けてほしいとたのむでしょう。この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。」

                      レイチェル・カーソン

                         Rachel Carson

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「地球のこよなき美しさは、生命の輝きのなかにあり、それはすべての花びらに新しい思考を生みおとす。われわれは、美しさに心を奪われている時にのみ、真に生きているのだ。他のすべては幻想であり、忍耐にすぎない。」

​リチャード・ジェフェリース

すべて現象の世界は、

幻かもしれない。

それでも月という現象は

神秘ではないか!

生き物も生き物でないものも

そのレンズに宇宙を映す露のように、

儚く消滅し、その姿を変えるだろう。

この世界は、人間の心のように、

あてにならないものばかりだ。

だが、それらは、

ことばでは言いつくせない

美しさに満ちあふれてもいる。

生命とは何なのか、

この先になにがあるのか、

わたしには、わからない。

宇宙は不思議に満ち、

生命は美しく、

パセティックなものだということさえ

分かっていないのかもしれない。

                                          かそい

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制作年は全て2001年

紙は全て西村信吾氏制作になる和紙です。

表装は全て村山秀紀氏によってなされました。

© 2025 Harunokasoi

無断の複製転載を禁じます

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